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カスタマーハラスメントに対する基本方針

弊団体は、「生まれ育った家庭や環境に関わらず誰もがしあわせに生きていける社会の実現」を目指し、日々、こどもたちの居場所やあそび場などの事業を通じて理念の実現に向けて活動しております。

 これからも、こどもたち、保護者のみなさん、地域の方々、支援者のみなさん、そしてCFAに関わるすべてのみなさんの声に真摯に耳を傾け、至らない点は受け止めて改善に努めてまいります。

 一方で、職員やボランティアに対しての常識の範囲を超えた要求や言動の中には、人格を否定する言動、暴力・セクシャルハラスメント等の尊厳を傷つけるものもあり、これらの行為は、わたしたちの活動環境の悪化を招くゆゆしき問題です。

 また近年は、保育や教育の場面において、一人の執拗なクレームによって公園がなくなったり、学校の授業に制限が加えられるなど、教育団体や行政、非営利団体に対して執拗に自らの要求を繰り返すことで、関わる職員を疲弊させ、結果的にこどもたちを始めとした市民の権利を踏みにじるといったケースも起きています。

 

 わたしたちは、これらの要求や言動に対して誠意を持って対応しつつも、職員やボランティアの人権を尊重するため、毅然とした態度で接します。

 もし、カスタマーハラスメント行為を受けた際は、すぐに上長等に報告・相談することを奨励しており、相談があった際には組織的に対応します。必要に応じては、対面での対応の中止やSNS等のブロック、実名を記載しての警告を行います。さらに悪質と判断される行為を認めた場合は、警察・弁護士等のしかるべき機関に相談のうえ、厳正に対処します。

◾️カスタマーハラスメントの定義

 弊団体は、「カスタマーからのクレーム・言動のうち、要求の内容が妥当性を欠くものや、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、それらにより職員やボランティアの活動環境が害されるおそれがあるもの」をカスタマーハラスメントとして取り扱います。

 通常、カスタマーとは顧客をあらわしますが、非営利団体や学校などの教育機関は直接の顧客以外からも悪質な要求を受けることが多いため、ここでは直接の顧客に限定していません。

【該当する行為】

以下の記載は例示でありこれらに限られるものではありません。

  • 身体的・精神的な攻撃(暴行、傷害、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
  • 威圧的・脅迫的な言動(マスコミや公的機関、SNS等への暴露や反社会的勢力とのつながりをほのめかした脅し)
  • 継続的な言動、執拗な言動(要求の過度な繰り返しや、度重なる電話やメール等での連絡、何度も同じ説明をさせるなど業務に支障を及ぼす行為)
  • 土下座の要求
  • 拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
  • 差別的な言動、性的な言動
  • 当団体に関わる個人への攻撃や要求
  • 当団体及び当団体に関わる個人の情報等の無断でのSNS/インターネット等への投稿(文章、写真、音声、映像の公開)
  • 不合理又は過剰なサービスの提供の要求
  • 正当な理由のない金銭補償の要求、謝罪の要求
  • その他、不適切な言動(当団体に関わる個人に対しての悪質性の高い行為)

◾️法的な背景

・労働契約法は、その第5条において「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と規定し、事業主の労働者に対する安全配慮義務を定めています。

・令和元年6月には労働施策総合推進法等が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。

・令和2年1月には「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(厚生労働省告知第5号)が策定され、顧客等からの暴行・脅迫・ひどい暴言・不当な要求等の著しい迷惑行為に関して、事業主は、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨、また被害を防止するための取組を行うことが有効である旨が定められました。

◾️結びに

 わたしたちは本来、一人一人が権利と責任を有した対等な市民です。いつの頃からか市民の消費者化が進み、相手の権利を顧みずに自己の権利のみを主張する人が増えてしまいました。学校の先生も、コンビニの店員さんも、鉄道会社の駅員さんも、市役所の職員さんも、誰もがひとりの人間で、誰かの大切なこどもで、もしかすると誰かの恋人だったり、お父さんやお母さんだったり、きょうだいだったりします。嫌味を言われれば傷つくし、暴言を吐かれたら苦しいし、ネットに晒すぞと脅迫されたら生きた心地がしないかもしれません。心無い言動で働くことが嫌になったり、生きていくことが嫌になったりする人もいます。少しの想像力と少しの優しさで、社会がより良くなっていくよう、わたしたち自身から気をつけていきたいと思います。

2024年6月

特定非営利活動法人Chance For All

代表 中山勇魚